ようこそ!ここは、新潟大学河川工学研究室のウエブサイトです。この研究室は2009年4月に開設され、現在は、教員2名、博士課程学生4名、修士課程学生5名、学部生3名、事務補佐員1名で運営しています。
人類初の「水害の克服」を目指し、河川の水理、地形、そして環境について数理学的なアプローチを用いた基礎的な研究と、それを社会実装するための応用研究を行っています。
News 2025
Physics of Fluidsから年賀状を頂きました。この年の図柄も登載になった論文から選定されたものとのことです。また、文面の解読が毎年できずにいたいのですが、生成AIに判読を依頼したところ、8割方の判読ができました🤩。Many thanks for your generous contribution? to Phys. Fluids ‘24. Come again. 凄すぎる。
新年明けましておめでとうございます。今後の河川整備においては、生物多様性への配慮を基本とするものと定められました。治水と環境という一見すると相反するものを両立することが前提となり、河川技術においては一層河川の基本的な性質の理解を深化させる必要性が高まりました。容易な研究ではありませんが、近年の科学技術全般の向上を巧妙に活用し、河川の理解の深化に一石を投じるような学問的な貢献を続けたいと考えています。2025年も引き続き、時代の潮流は捉えつつも浅薄な流行に翻弄されることなく、真に解決すべき学問的な問いに果敢に挑戦を続けます。本年もご支援とご指導をよろしくお願いします。
News 2024
今年は、能登半島地震で始まり、どうなることかと一抹の不安を抱えての皮切りとなりましたが、無事に過ごすことができました。また、年始には全く予想をしていなかった意外な展開がいくつもあり、大変に充実した気持ちで1年間を過ごすことができました。ご支援やご指導を頂いた皆様に感謝を申し上げます。2025年も引き続きよろしくお願いします。
年末ギリギリに最高に嬉しいニュースが届きました。博士課程2年の大原由暉君が学振DC2の採択となりました‼️本当におめでとうございます。この日に結果の開示とは、クリスマスプレゼントと重ねる意図があったのでしょうか。
本年の初夏に創設された国交省北陸地整と新潟県土木部の皆様と河川について学ぶ「かわ塾」の勉強会を開催しました。参加者の真剣な眼差しに刺激を受けました。来年もよろしくお願いします。
かれこれ10年近く切磋琢磨させていただいている同僚の方の祝賀の席に同席させて頂きました。おめでとうございました。常に高みを目指す仲間が身近にいることを改めて有り難く思いました。1944年のクリスマスを生き延びた側となれるよう精進を重ねたいと思います。
11月に開催された土木学会新潟会における特任助教の茂木大知先生の発表に対し、土屋雷蔵賞が授与されることが決まりました。おめでとうございます‼️
今日は、来年の春からの実河川の観測ビッグデータの測定に向け、東京遠征でした。着実に来年の準備が進んでおり、春以降が楽しみです☺️。
来年の春からの実河川の観測ビッグデータの測定に向け、関西遠征をしました。実際に向き合って話をしたことで、詳しくは書けませんが、全く予想をしていなかった驚くような展開がいくつかありました。対面に勝る会話の方法はないことを再認識しました。
国が管理する河川において5年に一度実施される河床材料調査を実体験する機会を頂きました。管理延長が数十km、川幅1kmにも及ぶような河川は、何をはかるとしても人力ではできることに限りがあります。阿賀野川河川事務所の皆様、有り難うございました。
つくば市の国総研を訪問し、河川関係の実験施設や実施中の水理実験を見学させて頂きました。あまりの規模の大きさに度肝を抜かれました💦。河川研の皆様、有り難うございました。
本日、土木学会の新潟会において、10件の研究発表をしました。直前まで発表内容に磨きをかける熱心な取り組みが本番の発表でも発揮されていたと思います。
我が国の研究力の凋落が著しいと言われ、久しいです。一般に国ごとの研究力はその国から発表された論文数が指標に用いられることが多いです。しかし、論文数を指標とした考えたかは、GDPと同様に、人口が多い国ほど有利な結果となります。そこで、各国の人口が我が国と同じだった場合の論文数を整理してみました。図中の青色がG7先進国、緑が欧州の小国、黄色がアジアと中東、灰色がBRICSの国技にを示しています。まず、この図から、青色のG7の各国は年々順位を落とし、その代わりに、緑色の欧州の小国が順位を向上し、最近では黄色のアジア諸国の活躍が目立ちます。この中で、我が国の世界ランキングは下落の一途を辿り、多くの他国は我が国よりも2倍から3倍ほども論文を生産できていることがわかりました。オーストラリアは実に日本の15倍もの論文を生産しているほか、スイスやオランダなどの我が国と比べると人口が1割程度の国の躍進も著しく、優に5倍以上の論文の生産力があることも分かりました。がんばろう日本。
異分野融合研究の開始をきっかけとして始まりました土木科学シンポジウムですが、第7回となる会を本年も朱鷺メッセ国際会議場にて130名余りの産官学の方々とともに開催しました。本年のテーマは「100年後のかわとひとを考える」としました。2件の招待講演、3つの大学の研究室の学生たちが研究成果を発表するポスターセッション、会の最後には「100年後のかわとひとの理想」についてのパネルディスカッションを行いました。ご参加の皆さま、有り難うございました。
筑波大学の武若聡教授と白川直樹准教授、信濃川河川事務所の福島雅紀所長をはじめとする皆さまと信濃川の特性が色恋箇所を巡る勉強会に参加しました。様々な観点での意見交換の機会となり、非常に貴重な経験をさせていただきました。皆さま有り難うございました。
博士2年生の大原君の論文登載をお祝いする会を開きました。研究室メンバと普段とは違った雰囲気で話をすることができ、また、各人から意欲あふれる話が漏れ聞こえ、すごく雰囲気の良い会でした。大原君に続く成果をあげた学生を祝う次の会が楽しみです。これからも「行動して結果を出す研究室」であり続けたいと思った夜でした。
2023年の夏は記録的に暑く、降雨が少ない夏だったと報道されていました。2024年の夏は、連日報道に取り上げられるほどの特徴的な夏ではなかったと思います。このことを客観的に捉えるため、2024年の7月と8月の最高気温と最低気温を過去のものと比べてみました。その結果、まず、最高気温については、新潟測候所の過去140年ほどの記録のちょうど中央値付近に位置することがわかり、また、最低気温については、2023年ほど高温ではないものの、過去140年ほどの記録の上位に位置することがわかりました。過去140年間の記録は、ある日の最高気温は、その年によりだいぶ異なる傾向を示し、ある日の最低気温は、過去から現在になるにつれて上昇の傾向を示しています。2023年と2024年の夏の最高気温と最低気温はこの傾向に合致するものと言えそうです。
かわいらしいお土産を頂きました。もらってばかりな気がしています。いつも有り難うございます。
9月に開催された土木学会全国大会における修士1年の大川原大智君が研究発表が優秀と認めれ、土木学会優秀発表者賞を受賞しました‼️おめでとうございます。
流体力学のトップジャーナルであるPhysics of Fluidsにおいて、Physics-informed neural networks for inversion of river flow and geometry with shallow water modelという論文が受理となりました‼️この論文は、博士課程2年の大原由暉君が主導したもので、PINNsを手法とし、わずかな実測情報のみを教師データとして未知の物理量の優れた推定ができることを初めて示したものです。同日には、深層学習の父と言われるヒントン名誉教授らが本年のノーベル物理学賞を受賞したとの発表があり、奇しき縁を感じます。
早出川では2016年より、早出川における自然に発生した形状を参考に設計した河道の制御工法が導入されており、設置から8年以上が経過していますが、設置後に特別な維持管理を実施することなく現在においても設計当初の効果が持続しています。優れた河道形状の制御の効果が認められ、現在までに、利根川本川の他、新潟県が管理する4つの河川に実装されています。
ARCEプロジェクトの一翼を担う村松正吾教授が主宰する研究室が創設から25年を迎え、記念行事にお招き頂きました。やっぱりいい研究をやっている研究室には、意欲と能力を兼備した学生が代々続くことを改めて目の当たりにしました。これまで以上に相補関係となるように努めたいと考えていますので、今後もよろしくお願いします。
経済調査レビューという専門誌に「我が国の土木工学の研究力とその回復の方策」という記事を掲載して頂きました。この記事の執筆にあたり、世界各国の土木工学分野の論文数をWeb of Scienceを用いて集計し、さらに各国の2023年の人口を同年の日本の人口で規格化した数値を求めました。その結果、各国の論文数は、各国の博士号の取得者数と完全に対応することがわかりました。つまり、日本の土木工学の研究力の低調の原因の一つは、日本人の博士号の取得者を十分に確保できていないこと結論づけることができそうです。この状況を放置すると、国産技術の絶滅や、大学などの教育機関の運営自体が困難となることが容易に想像できます。この対策の一つとしては、私塾のようなかたちでの人材育成でしょう。
東北大学において開催となった土木学会全国大会において8件の成果発表をしました‼️
新潟県と山形県の県境近くに山熊田というマタギ文化を特徴とする集落があり、昨年9月に続き、再訪する機会を得ました。地元の方々との交流させていただいた他、集落の中心を流れる河川での川遊びもしました。この際に、わずか20cmから30cmほどの水深の川の中の流れを覗きましたが、あまりにも複雑な流れに驚かされました。人はまだ真実を知らない、ということを実感し、山熊田を後にしました。
実河川の実測法の研究は、測定原理の制約が多い上、いつ一定規模以上の洪水が発生するかが分からず、非常に研究対象とすることが難しいです。このため、従来から、河川の研究においては模型実験が併用されてきました。この度、模型実験の測定にレーダを導入する研究を開始することとなり、実河川と模型実験とで同一の測定原理での測定が可能となる見通しが立ち、研究の加速をできそうです。
本日は、実河川の実測に適用されたことがない新しい3つの測定法の試験測定を実施しました。どれも実用の可能性は高そうで、順次、研究論文として発表していきたいと考えています。
本研究室では2020年よりX帯の電磁波を用いた河川の観測を実施していますが、筑波大学の武若聡教授の研究グループはこれよりも10年以上も先行して海浜や河口の変形を電磁波を用いた観測を続けています。この度、河川と海岸の一体的な観測とそれに基づく土砂動態の把握についての意見交換を行いました。
近自然工法の開祖であるクリスチャン・ゲルディさんとその継承者のピティさんらから大胆に河川にも付け替えをした現地を案内してもらいました。山間部に位置する集落さえ生き生きとしていて、国土の隅々まで整備と管理が行き届き、昨今の日本のように衰退に怯える様子が微塵もないことに驚きました。
マンチェスター近郊のワイヤ川における流域規模での自然再生の現地を見学する機会を得ました。今世紀末の気候変動と社会変容への対応のために公共事業として自然再生をしているという説明を伺いました。
6月から始まった行政機関の若手技術者を育成する「かわ塾」の第2回を開催しました。若手の参加者の意欲は驚くほど高く、この取り組みにより少しでも成果を残せるように努めたいと思います。
信濃川の堤防を対象として2021年から始めた宇宙線による堤防の観測ですが、このたび、新たな手法により観測を開始することになりました。この実施にあたり、ご協力をいただいた関係のの皆様、有り難うございました。
このたび、博士課程1年の関翔平君が業績優秀者と評価され、JASSOの第一種奨学金が全額返還免除となりました。おめでとうございます‼️
前々からやろうと思っていた、我が国の工学系同士(土木、機械、電気電子、応用化学)でのこの40年ほどの研究力の推移の比較図をやっと作りました。どの分野も2005年を境とし、世界ランキングを低下させており、このことは、よく言われる大学の独立法人化と連動している考えるのが自然だと思います。土木と電気電子を比較すると、もともと土木よりも高順位だった電気電子の下落の開始は土木よりも遅い時期からですし、その下落の規模も小さいがことがわかります。これらの分野ごとの研究力の推移を通し、不測の事態に備え、層の厚さを確保することが重要と言えそうです。
信濃川は、流路延長と流域面積の両方が国内最大級の河川です。このため、誰に目に見ても「洪水」と認識するほどの増水は1年に数度しかありません。今回の増水は、大きな危険が発生するものではありませんでしたが、2019年台風19号による洪水以後3番目の大きさで、また、1960年以降の観測値全体から見た発生頻度はわずか5%ほどの洪水です。そこで、この洪水中に信濃川の約10kmほどの区間を電磁波を用いて実測しました。また、今回の洪水の実測では、電磁波による第二の目と第三の目の準備も進めました。今まで見えなかった・知らなかった洪水中の河川の振る舞いの解明がジワジワ進んでいます。
ARCEプロジェクトでは、かねてからデータ駆動型の洪水予測の開発をしきました。その研究構想を村松教授を中心にまとめ、この度、科研費・挑戦的研究(開拓)の採択となりました‼️ ARCEプロジェクトとして採択となった挑戦的研究(開拓)はこれで二つ目となります。この科研費の種目の名称の通り、今後も「開拓」を意識した研究を続けたいと思います。
科研費・挑戦的研究(開拓)とは、新たな学問の開拓を期待する種目であり、その採択率が10%前後という難関種目です。
このたび、河川の実務に関わる方々と、今後の河川技術についての率直な意見交換をする場として、「かわじゅく」を発足させ、その第1回を開催しました。この会は、各自の意思で集うことを前提とするものですが、予想を超える数の方々に参集いただきました。有り難うございました。
2022年8月に荒川流域は記録的な洪水に見舞われ、その後、復旧などが進められてきました。この度、羽越河川国道事務所の皆様に機会を作って頂き、現地見学と、荒川の今後についての意見交換の機会をいただきました。事務所の皆様、どうも有り難うございました。
日本地球惑星科学連合2024年大会(JpGU)での招待講演の機会をいただき、「観測ビッグデータに基づく交互砂州の発生機構の特定」というタイトルでお話をさせていただきました。コンビナーの皆様、どうも有り難うございました。
博士課程1年の仮澤広晃君が博士学生の育成を支援をする「新次世代育成プロジェクト」に採択となりました‼️おめでとうございます。引き続きの成長を楽しみにしています。
2020年春から始めた電磁波を用いた河川の観測を今年も継続の予定で、6月からの降雨期の始まりに備え、観測機材の準備をしました。ほどほどの増水が何度か到来することを祈っています。
学術変革領域の領域会議が名古屋大学であり、今後の研究方針について、意見交換をしました。この会議は、毎回、勉強になることばかりです。名古屋大学の皆様、どうもお世話になりました。
一般に河川の流れの研究では流れのみを考えることが大半ですが、改めてじっくり河川の水面を見ると、流れと波の共存場と考えた方が自然なんですよね。常識が必ずしも正しいとは限らず、常識に翻弄されることなく、改めてそのものを自分の目で確認することを怠らないようにしたいと思います。
日本三大疏水の一つの那須疏水。今でも当時の水路はひっそりですが、しっかり残っています。
近年のセンシングの手法の特徴は、ハードとソフトが一体となって機能するものです。今年の出水期に向け、小千谷の観測機材のファームウェアのアップデートをしました。肉眼でも以前との測定との違いがあるように見え、今後が楽しみです。
2021年から宇宙船を用いた堤防の内部の透視技術の開発を開始し、その観測対象となっていた堤防がこの度開削され、これまでの宇宙線の観測結果との対比をできる状況が整いました。この度の開削現場の見学の機会を与えて頂きました国交省北陸地整の皆様に感謝申し上げます。
新潟大学の自然災害や地域づくりを専門とする研究者の方々と「自然災害と地域づくり」という本を書き、朝倉書店より出版となります。ぜひご覧ください。
本研究室は本日で満15歳となりました。多くの関係の皆様のご支援により今日を迎えられたものと大変に感謝しています。振り返ればあっという間でしたし、発足当時は現在ほどに実測データやそこから意味を見出す数理の研究を実施するとは全く考えていませんでした。また、土木工学以外の研究分野の方々とこれほど多様に関係するとも考えていませんでした。最近数年間の研究を通し、土木工学という学問分野はこれからさまざま未解明問題の完全な解決が期待でき、大変に充実した研究をできる時期を過ごせるものと考えています。
本日より、3月末に博士号を取得した茂木大知君が特任助教として着任しました。「水害の超克」という高い目標を掲げ、この1日も早い実現に向け、新たな研究体制を存分に活かし、これからも精進します。引き続きのご支援をよろしくお願いします。
博士前期課程1年の鈴木朱音さんを代表として申請した新潟県建設技術センターの研究助成が採択となりました‼️
東工大のすずかけ台キャンパスにおいて、学術変革領域で実施してきたミューオンイメージングにおける情報数理の課題とその解決について意見交換しました。この会議では、毎回、密度の高い議論が展開され、勉強になることばかりです。
本日、博士後期課程の茂木大知君、博士前期課程の仮澤広晃君と関翔平君が修了、工学部の大川原大智君、清水啓太君が卒業となりました。おめでとうございます。各人ともに研究室に在籍中に非常に優れた研究業績をあげるとともに、人間性を大きく伸ばしました。これからの益々の活躍を期待しています!
博士後期課程の茂木大知君と、博士前期課程の関翔平君の二人が、新潟大学学長より令和5年度学生表彰を受けました。この表彰は大学全体で7名のみが選出されるものです。また、茂木君と関君は、学生表彰と同時に、新潟大学理事(研究担当)より学生優秀賞論文賞受賞者にも選出されました。おめでとうございます。
2022年8月の記録的な豪雨による洪水により、荒川(新潟県)の河口にあった砂州が流失しました。その後、この砂州はまもなく再生を始め、2022年8月の洪水以前に近い形に発達してきました。当研究室では、このような砂州の消長機構の解明を目指しています。
流体現象は同一地点において同時に定量化された一対の流速と圧力があれば、その物理的な説明を完全にできます。この目的を達成するに、流速と圧力の一対かつ高密度かつ高頻度な測定が必要です。しかし、そのような測定は、コストや労力、技術的な制約により現状では困難です。さらに、流速と圧力のどちらか一方の細密な測定も一般に困難です。この度、流速の細密な測定ができるLDV: Laser Doppler Velocimetryを導入しました。
SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)に参画しており、その対象流域である十勝川の視察と北海道大学での意見交換会に参加しました。北海道大学の皆様、有り難うございました。
博士3年の茂木大知君の博士号の取得、学部4年の清水啓太君の卒業研究発表会の優秀賞受賞を祝う会を催しました。本日で令和5年度の重要な行事に一区切りがつきました。これから1年も精一杯の努力を重ねたいと思います。関係の皆様、ご指導とご支援をよろしくお願いします。
本日、科研費・基盤研究(A)の採択の通知があり、「洪水時の観測ビッグデータに基づく自然由来河道の安定機構の解明と河道設計指標の特定」という研究課題が採択となりました。今回で二度目の基盤研究(A)の採択となり、分野を先導する成果を上げなければならないという重責を感じながらこれから4年間、しっかりと研究を発展させる所存です。
2021年から始まった宇宙線による堤防の透視技術の開発は第二段階を迎えて観測対象の拡大の時期に入り、吉野川の堤防の観測候補地を視察しました。徳島河川国道事務所の皆さま、ご協力を有り難うございました。
博士3年の茂木大知君の博士審査の公聴会を開催しました。これまで3年間の博士課程における研究成果を45分ほどで発表し、その後、副査の村松正吾教授と早坂圭司教授からの質疑に加え、聴講者として参加してくださった国交省の事務所長らからの本質的な質問にしっかりと落ちつた回答が好印象でした。公聴会は英語ではDiffenceと言いますが、自分の研究成果を防衛する応答が大変に立派でした!
卒業研究発表会において工学部4年の大川原大智君と清水啓太君が1年間の研究成果を発表しました。大川原君はマイクロ波を用いた冬季風浪による河口地形の変形、清水君は観測ビッグデータからモデル方程式を抽出する数理的手法について発表しました。どちらの発表も卒業研究の発表としては非常に水準の高いものでした。
修士2年の仮澤広晃君と関翔平君が修士論文の発表会で発表しました。どちらのプレゼンテーションもこれまでの研究室内での議論本質を絶妙に組み込んだ優れたものでした。二人の発表を聞き、卒業研究を含めて3年間の一貫した研究活動により、非常に大きくかつ総合的に成長したことを実感しました。
電気・電子および情報数理を専門とする著名な研究者と相次いでお話をする機会があり、土木工学は工学の中で珍しくこれからが本番の時代となるだろうとお話をしました。この話が何を意味しているのかというと、例えば、電気・電子の分野は、電気、電子の順番で発展を遂げ、現在ではついに電子の物理的な制約に到達していることに対し、土木工学は、この時代となり初めて、土木工学対象とする巨大なものの一体的かつ高頻度な測定や内部を表面から見えないもモノの内部の透視を徐々にできるようになり、その測定の結果に基づきその物理機構の理解が一気に深化し、経験工学から脱却できるということです。
2021年より堤防の内部に存在する空洞などを宇宙線ミュオンを用いて検出できるかの試行を重ねてきました。実は、この観測を行った箇所において、堤防の内部の確認をする機会が訪れそうです。
この度の能登沖地震および津波により被災された方に心からお見舞いを申し上げます。
日本海側において一定規模以上の地震に伴い発生した津波は、地震発生から最速で5分程度で沿岸や河口に到達することが知られています。また、一般的に津波は遠方まで勢力を維持したまま伝播する性質があります。
国土交通省の水文水質データベースで公開されている日本海側の国が管理している河川の河口近くの水位計のデータを用い、今回の津波の各地への伝播の特性について整理しました。その結果、新潟県の関川と富山県の神通川には16時30分頃に到達、新潟県の信濃川には16時50分頃に到達、石川県の手取川と梯川には17時20分ころ到達していたことが推定されました。これらのことから、震源から各地に向けて時速200kmほどの速度で伝播したことが分かります。また、関川では津波の遡上に伴って河川の水位が1時間ほどの短時間のうちに1m程度も増減し、危険な状態であったことが分かりました。
津波の影響は河川によっては12時間以上も継続していたことも分かりました。今回の地震の発生は16時10分頃と言われ、津波の遡上に伴う危険な状態が続く中で地震発生後にすぐに日没を迎えました。また、日本海側では冬季にしばしば低気圧による高波と風雪が生じ、今回は比較的良い天候における地震と津波の発生だったことになります。つまり、今回の地震と津波とを通し、夜間かつ冬季における津波の発生時に避難とその時の津波の監視が課題として浮き彫りになったと言えるでしょう。
2023年もまた思いもよらない新たな出会いや、思いもよらない奇跡的な協力を各所から得て、1年前の想像を超える成果を得ることができました。献身的な協力を頂いた皆様に感謝を申し上げます。
2023年は、特に、2016年後半から開始した異分野融合による研究が成熟期を迎え、模型実験および実河川の各々で時間と空間のどちらも高い密度での測定法の開発、それらの測定結果に基づく河床波の発生の起源の解明など、目覚ましい成果を得ることができました。河川の幾何学的な形状を規定している河床形状の自発的な発生機序を解明できたことは特に印象深いです。一方で、データ科学の観点からみると、これらの独自の測定法から得られた高次元のデータの価値をほとんど引き出せていないことが浮き彫りとなってました。
これまでの成果を基盤とし、2024年も昨年度までに引き続き、ありモノのつぎはぎではなく、問題解決に真に必要なことを見定め、根源的な転換や必要なコトやモノの創造、その社会実装までに全力で取り組みます。引き続きのご支援をよろしくお願いします。
昨年の年始に続き、今年もまたPhysics of FluidsのEditorの方からNew Year Cardを頂きました。このカードの表紙は、2023年に同誌で発表となった電磁流体の解析結果だそうです。せっかくなので、このカードの表紙に採用されるような価値が高く美しい成果を目指し続けます。
2023年以前の活動はこちら。