人類初の「水害の克服」への挑戦
Vision 2024
現在の常識は、人と水害は共生するものとの考え方だろう。また、古い時代から水害の軽減のために治水が行われてきた。人はこれからも水害との共生を余儀なくされ、また、治水は今後も水害の軽減以上のことをできないのだろうか。
人や社会に被害が及ぶ水害は、河道の収容量の不足か、収容器としての河道の破壊により起きる。治水の方針が 2020 年に従来の堤防とダムを両輪とする治水から流域治水へ転換 された。この転換により、線での洪水の収容から面での収容となり洪水の収容量は飛躍的に 増大した。この転換により収容量は単純計算で1000倍に拡大する。流域全体での洪水の収容 量の真価を発揮させられれば、今後の1.2倍程度の洪水の増加を過度に恐れる必要はない。 つまり、原理的には、河道にまつわる二つの問題を解決できれば、人と河川の関係は全く新しい関係を築くことができ、人類で初めての「水害の克服」の可能性さえある。
本研究グループでは、広範な異分野を融合する研究体制により、データ駆動を手段として河川と流域の物理的な理解の深化に努め、水害を克服する新たな概念とそれを実現する技術の創出に挑戦する。